米朝、米中が大きな材料に
今週の為替相場は、米朝首脳会談、米中貿易交渉が大きな材料になりそうです。
米朝首脳は、ベトナムのハノイで2回目の首脳会談を実施する予定です。
今回の会合では、引き続き北朝鮮の非核化が大きな争点になると思われますが、事前に流れている報道では、トランプ米大統領は非核化は時間がかかるとの認識を示しており、むしろ朝鮮半島の緊張緩和を強めたい考えがあるようです。
この結果、朝鮮半島の戦争状態を終結し、米朝平和条約等々、米国と北朝鮮がこれまででの敵対関係から、友好を強める会談になるのではないかとの見方も出ています。
このため、米国を中心に世界中に強まった北朝鮮に対する経済制裁がどのような形で、緩和するのか、その道筋が鮮明になるのか否か、注目されると思います。
結局、米朝首脳会談では、以前の米朝首脳会談と同じように、北朝鮮の言い分が先行して、北朝鮮の非核化はできないと考えています。
それでも、米国は、北朝鮮を国際社会に組み入れることに成功した、そんなシナリオを考えているのではないかと思います。
これに対し、米中通商交渉も、中国から具体的な策を得られることはなく、中国の対米貿易黒字に見合う、米国の対中黒字を獲得することに、トランプ大統領は夢中になっているようです。
結果として、米中の貿易収支が、これまでの一方的な中国の黒字が減少すればよいわけで、自由主義圏のリーダーとしての立場はトランプ大統領にとってはどうでも良いことだと考えています。
仮に、米朝首脳会談で朝鮮半島に平和が訪れるとの見方が広がり、米中貿易摩擦が軽減するようなことになれば、これでトランプ大統領は国内向けに、米朝、米中ともに勝利したと勝利宣言をするのではないかと思うのです。
しかし、結果的には、何にも解決しておらず、北朝鮮は経済制裁解除を勝ち取り、中国も米国に塩を与えて、万々歳ということになりそうです。
将来的な懸念はともかく、これまでの緊張材料が一気になくなるわけです。
為替市場では、米朝、米中ともに、うまくまとまるとの読みから、ドルが上昇していましたが、次の材料は、米国の経済がどのように立ち直るのかを見極める動きが強まるのではないかとみています。
また、米国が利上げをストップしている中で、金利差が意識される展開も想定されます。
米朝、米中の大きな材料が剥落するとしたら、為替市場は金利差、金利の動向を意識する動きに戻るのかもしれません。
逆に、米朝、米中がまとまらないと、懸念が先送りされたとの見方が出て、リスク回避の動きが強まるのではないかと考えています。
いずれにしても、米朝、米中は、何らかのまとまりが得られるとみられている分、議論がまとまらないと、再び、リスク回避の動きが強まるものとみています。
まずは、米朝、米中の交渉を見極める展開になると思います。
予想レンジは、ドル円が106.20~112.20円、ユーロ円が122.20~128.20円、英ポンド円が140.20~146.20円、豪ドル円が74.20~80.20円。