ドル下値余地を窺うか
今週の為替相場は、ドルが下値余地を窺うか。
米国ではFOMCで年内の利上げはないとする見方が強まりました。
米景気の軟調な動きを懸念するFRBの指摘から、昨年は年2回の利上げが予想されていましたが、今回のFOMCでは年内の利上げはないとされました。
市場では、これまでのFRB高官の慎重な発言に懐疑的でしたが、実際にFOMCで利上げが見送られることが決まり、米長短金利の逆転が見られると、これまで金利面で支えられていたドルが、下落する動きを見せました。
今まで、米国では経済指標の堅調な動きを背景に、金利先高感がドルを支える材料になっていましたが、さすがに、金利先高観が解消されたことで、ドル売りが強まる動きに転じたわけです。
直前には、ドルの上値を目指す動きが強まるとの読みが出ていましたが、まだ米経済指標上では、米経済の先行きを懸念するような材料は見られていないものの、米金利が低下する流れが出てきたことで、これまでドルを支えていた材料が拭われたことで、ドル売りに転じているわけです。
この中、欧州では、英国のEUからの離脱に向けた動きが継続していますが、3月29日の離脱期限が先延ばしされたことで、ユーロや英ポンドを巡る緊張感がやや拭われている感じがします。
ただ、欧州でも米国と同様に、金利面では早急な利上げはないとの見方が広がり、緊張感の緩和もユーロが強く上昇する流れにはなっていません。
欧州では、米国以上に金融政策の緩和が長期化するのではないか、あるいは利上げに向けて舵を切り始めたものが、元に戻るのではないかとの思惑が出て、積極的に欧州通貨が上昇する動きがみられていません。
この流れを今週も引き継ぐのではないか、そんな風に見ています。
特に、今週は日本にとって年度末を迎えることで、収益確保の動きが強まれば、相対評価で円買いの流れが強まっている中で、円の上昇を誘う動きも出てくるのではないかとみています。
年度末の動き、リスク回避の円買いの動きがどんな影響を与えるのか注視したいと考えています。
予想レンジは、ドル円が106.20~111.20円、ユーロ円が120.20~126.20円、英ポンド円が140.20~147.20円、豪ドル円が74.20~80.20円。