米中貿易戦争、ドルにとっては弱い材料に

今週の為替相場は、これまで米中貿易戦争がドルにとっては強い材料とみられていましたが、実際に米経済指標が悪化していることや、米経済の悪化から米国は利下げを行う可能性が出てきたなどの見方から、ドルが軟調に推移するのではないかとの見方が強まっています。



これまでは、米中貿易戦争は、米国にとっては大きな影響はなく、中国にとっての弱い材料との見方から、ドルが上昇する展開となってきました。



ドルが底堅く推移していた背景には、こうした見方がドルを支えていたとの声が強まっています。



しかし、足元で発表される米経済指標をみると、明らかに米中貿易戦争の悪影響が経済指標の悪化に表されているとの見方が出ており、経済を立て直すためにも、年内の利下げは不可避との読みも出始めています。



結局は、ドル安に向かわさせることで、米経済の支援策にするという方策しか、米国がとる手段はないのではないかというわけです。



米政権は、自国通貨安政策を行っている国については、それなりの対応を取ると指摘していますが、貿易戦争で疲弊し始めている米経済を救済するためにはドル安政策を取らざるを得ないのではないかとの見方も出始めています。



これまで、強いドルで押し通してきましたが、米中貿易戦争の結果、弱いドルを選択せざる得なくなっている状況が、今後のドル相場に影響を与えるのではないかとみています。



この中、米国は日本との通商交渉を始めますが、こちらも、円安から円高に移行しない限り、日米通商交渉はまとまらない、そうしなければ、米国にとってプラスになる通商交渉が行えない、そんなことを考えています。



繊維交渉、自動車・自動車部品交渉と同じようなことが再び起こる、そんな予感がしています。



米朝交渉も、米中交渉も、結局、具体的な成果をあげることが出来ずに終わったことを考えると、日米通商交渉も、米国が勝つためには、為替を操作するしかないのではないかと考えています。



日米貿易交渉の中身が見え始めた時に、ドル安・円高で問題を解決しようとする、米国の思惑が透けて見えてくるのではないかと思います。



また、英国ではメイ首相が辞任を発表しましたが、英国のEU離脱は大きな困難が訪れると思われます。



ユーロ、英ポンドともに、下落するリスクは一段と上がっているのではないかとみています。



予想レンジは、ドル円106.20111.20円、ユーロ円が118.20124.20円、英ポンド円が136.20142.20円、豪ドル円72.2077.20円。