ドル、下押し圧力も

今週の為替相場は、ドルに対する下押し圧力が強まる可能性が出ています。



先週末発表された米雇用統計では、失業率は3.6%と、196912月以来約49年ぶりの水準に改善し、非農業部門の新規雇用者も26.3万人増となりました。



この中、時間当たり賃金は前月比0.2%増、平均週刊労働時間は34.4時間に縮小しました。



これまでトランプ大統領FRBに対する圧力が目立っていましたが、足元ではペンス副大統領からも利下げを促す発言が出ています。



ペンス米副大統領は、4月の失業率が494カ月ぶりの低水準になったことなどをあげ、「米景気は盛り上がっている」と強調する一方で「(高)インフレはどこにも起きていない」と主張し、利下げによりさらに成長を押し上げて雇用を増やすことが重要だと訴えました。



雇用統計を受けて、シカゴ地区連銀のエバンズ総裁とセントルイス地区連銀のブラード総裁がFRBが年末までに利下げに動く可能性を示唆しました。



エバンズ総裁は米経済が軟調になればFRBは利下げを実施する必要があるとの考えを示したほか、ブラード総裁は第2四半期以降もインフレが低調に推移すれば、FRBはインフレ押し上げと信認回復に向け利下げに踏み切る必要が出てくる可能性があるとの認識を示しました。



これまでは、利上げをいったん休止して、経済動向を注視するとの声が聞かれていましたが、インフレ率が上昇していない中で、利上げも選択肢のあることが声高に語られるようになりました。



市場では、どの時点で利上げを再開するのかを注目していましたが、FRB関係者からも利上げについての言及が出始めたことで、米国の利下げをそろそろ織り込み始めるとの読みも出始めています。



これまでは、トランプ大統領の利下げ要求に対して、無理な注文と指摘する声が多かったのですが、経済指標は底堅いものの、インフレが予想外に低水準で推移しているとの声が聞かれる中で、FRBとしても利下げする余地があるとの認識が強まり始めているのではないかとの見方も増え始めています。



一方、欧州では、各国の選挙で極右勢力の伸長が著しく、こうしたことから国内の社会不安が高まるのではないかとの見方も出ており、経済動向の軟弱さと併せて、欧州に対する懸念が為替市場で材料視されるのではないかとの声も出始めています。



この中、日本は10日間の大型連休を終えますが、令和入りで、歓迎ムードが広がる中で、株価も堅調な動きを想定する声が多く、米国、欧州で不透明感が広がる中、日本は落ち着いた動きを堅持するのではないかとの見方から、株も円も底堅い動きを見せるのではないかとの読みが出ています。



予想レンジは、ドル円108.20113.20円、ユーロ円が120.20126.20円、英ポンド円が142.20148.20円、豪ドル円76.2081.20円。